17 単腎での生活

単腎であることは心配になりますね。しかし、単腎であっ てもいくつかの予防策をとり健康的な生活を過ごせば、普 通の人生を過ごすことができます。

単腎の人が日常生活でどんな問題に直面するのでしょ う?そしてなぜ問題なのでしょう?
ほぼ全ての人は 2 つの腎臓をもって生まれます。しかし、 たとえ単腎であっても予備能力のために、2 つ分の腎臓の 機能を果たすことができます。そのため、単腎であっても 日常生活や性行為、激しい労働を行ってもなんら問題はあ りません。単腎でも生涯にわたって普通で活力的な生活を 行うのに十分です。先天的単腎症は、他の理由で放射線検 査をうけるときに偶然指摘されることが多いです。少数で はありますが、単腎の人の中で長い年月を経て出現しうる 悪影響は高血圧と蛋白尿で腎機能低下は非常にまれです。

単腎の原因は?
単腎となる大きな原因としては3つあります。

  1. 生まれながらにして単腎である。
  2. 手術により腎臓摘出された。腎臓摘出の原因としては、 結石疾患、癌、尿路閉塞、膿栓、交通外傷などが重要である。
  3. 腎移植のために提供した。
単腎の人は普通で活力的な生活を過ごす

生まれながらにして単腎となる確率は?
多くは生まれながらにして単腎です。頻度としてはおよそ 750 人に 1 人の頻度です。男性に多い傾向にあり、通常で あれば左腎が喪失します。

単腎の人はなぜ予防策が必要なのでしょう?
単腎であることで大きな問題はありません。しかし、単腎 であることは予備の車輪がない二輪車に例えられます。 腎臓が二つない状況では、もし機能している腎臓に対して 突然大きな障害が生じた際に、急性腎不全は避けられず、 全体の腎機能が急速に悪化する可能性があります。 急性腎不全は多くの問題と合併症をおこす可能性があり、 注意が必要です。短期間で重篤な状態となり、また生命に 危険をおよぼす合併症を起こすことがあります。そのよう な人は緊急透析が必要となります。腎機能障害を避けるた め、またその重要さから単腎のすべての人に予防策が取ら れるべきです。

多くの人が単腎で生まれる

どういった状況が単腎に対する突然の障害となるのでし ょう?
単腎に対して突然重篤な障害を起こしうる潜在的な状況は以下のような場合です。

  1. 尿管結石、または血塊により突然尿流が遮断される。 尿流が遮断されることで腎からの尿が止まる。
  2. 腹部手術中に誤って単腎の尿管、すなわち腎から膀胱 に流れる通り道を結紮してしまう。
  3. 単腎に対する障害。ボクシング、ホッケー、サッカー、 武術、レスリングなど激しく接触するスポーツは腎障 害の危険性がある。単腎は身体の必要性に合せるため に通常の腎よりも大きく重くなる。腫大した腎臓は偶 発的な外傷をきたしやすい。

単腎を守るためにどういった予防策が推奨されているの でしょうか?
単腎の人は治療を必要としません。しかし、腎臓を守るた めに予防策を知っておくことはべきでしょう。重要な予防 策について列記します。

  • たくさん水分摂取を行う(1日あたり約3L)
  • ボクシング、ホッケー、サッカー、武術、レスリング など激しく接触するスポーツは避け、腎外傷を避ける。
  • 結石、尿路感染に対して予防を行い、早期に適切な治 療を行う。
  • 新たな治療を受ける前や、腹部手術を受ける前に単腎 であることを医師に伝える。
単腎の人は心配する必要はないが、適切な予防策をと り、定期的に健康診断を受ける必要がある
  • 血圧管理や適切な運動を行い、健康的な食事をとる。 鎮痛薬を避ける。医師から指導があれば高蛋白食を避 け、塩分制限を行う。
  • 定期的な健康診断。単腎の人は定期的に健康診断を受 けることが最も大切である。血圧や尿検査、血液検査 を年に 1 回測定し腎機能をチェックする。定期的な健 康診断は腎臓の問題点、腎不全に至る徴候を早期発見 するのに役立つ。腎臓の問題を早期発見することで適 切な治療、ケアを受ける機会を提供できる。

単腎の人はいつ受診すべきでしょうか?
単腎の人は以下の場合にすみやかに受診する必要があり ます。

  • 突然無尿になったとき。
  • 腫大した単腎に偶発的な障害がおきたとき。
  • 痛みに対して薬が必要なとき、診断のために造影剤が 必要なとき。
  • 発熱時、排尿時灼熱感、赤色尿があるとき。