8 腎不全とはなんでしょうか?

腎臓の主な働きは老廃物を濾過して排泄すること、体の余 った水分を取り除くこと、ミネラルや酸性・アルカリ性の バランスを保つことです。これらを処理する能力が低下し た状態のことを腎不全と呼びます。

腎不全とはどのように診断するのでしょうか?

血液中のクレアチニンと尿素窒素の値は腎臓の機能を反 映します。これらの値の上昇は、両方の腎臓の働きが低下 していることを示唆しています。血液中のクレアチニンの 値の上昇が極めてわずかでも、腎機能の有意な低下を反映 している点が重要です。もしも血液中のクレアチニンの値 がちょうど1.6 mg/dlである場合、腎臓の機能の50%以上 が失われてしまっていることが予想されます。

片方の腎臓がだめになると腎不全になりますか?

いいえ。2 つの腎臓のうち片方がだめになったり、手術で 取り除かれたりしても、全体の腎機能には影響しないと考 えられています。なぜなら、もう片方の健康な腎臓が、1 つで腎臓2つ分の仕事量を負うからです。

腎不全とは両方の腎臓の働きが失われたことを意味す る
腎不全の主な2種類について

急性腎不全と慢性腎臓病(慢性腎不全)があります。

急性腎不全

急性腎不全(かつては急性腎不全ARFと呼ばれ、近年では急性腎障害AKIと改めて名付けられた)は、体への様々な侵襲によって、短い期間に腎機能が低下もしくは失われてしまった状態です。

このタイプの腎不全はしばしば一時的なものです。適切な治療を行うことで、多くの患者さんの腎機能は正常に回復する可能性があります。

慢性腎臓病

数か月から年単位で徐々に進行し、腎機能が不可逆的に失われた状態を慢性腎臓病と呼びます(かつては慢性腎不全CRFと呼ばれていた)。この完治しない病態では、腎機能はゆっくりと継続的に低下していきます。長い時間が経過し腎機能が低下すると、腎臓はほぼ完全に働きを止めた状態に達します。このように病気が進行して生命を脅かす状態のことを末期腎不全(ESKDまたはESRD)といいます。

腎不全と診断された時、腎機能の50%以上は既に失われ ている